7 7月
2021

Candy Shop※R-18

クリーム色の月の光が窓越しに、ぼんやりと仙道の肌を照らす。
白く、キメの整ったその肌は何度見ても飽きない。むしろ、欲望を更に掻き立てる。

「ん…はぁ…っ」

悪戯に逃げる仙道の舌を捕まえると、流川は決して絡めて離さない。
その度にキスは深く激しくなっていく。
たまに仙道は、こうして流川を挑発する。
どうしてこの様な事を仙道が流川を挑発するのか、流川には分からなかった。
だが、仙道が愉しんでいる、それだけは確かだ。
悪趣味なヤツだ。そう心の中で罵倒とも取れる言葉を呟きながら唇を離す。
互いに荒くなった呼吸。
少し呼吸を調え仙道の顔を覗き込む様にして、流川が問う。

「なんで、逃げやがる」
「なんでだと思う?」

ヘラッと笑う仙道に流川は少し眉をひそめた。そんな流川を見、仙道は笑みを深くした。
笑顔のまま、仙道がこんな事を言い出した。

「じゃあ、クイズです」
「…あ?クイズだと?」
「そっ、クイズ。正解したら続きをしよう」
「…出来なかったら?」
「おあずけ」

間髪入れずに笑顔で言う仙道に、更に流川の眉が寄ったその表情からは、明らかな苛立ちが伺える。

「ココまでヤっておいて、外したら、おあずけだなんて、テメェ鬼だな」

確かにそうだ。お互いに上半身裸になっていて、仙道のズボンの前は流川の手によって開放されている。
流川自身、早く仙道の中に入りたいというのに―…。
そんな流川の心中を知ってか、仙道はまたもや愉しそうに続けた。

「はは、確かに鬼かもな。じゃあ、3択にしようか」
「…」
「1番!流川とのセックスを、バスケみてぇに楽しみたいから」

有り得るな、と流川は思った。愉快犯で知能犯でもある仙道なら…。

「2番!流川に、もっとオレに夢中になって欲しいから。オレも流川に、もっと夢中になりてぇから」

流川の胸が一瞬にして温かく火照る。まだ答えは分からないのに、ただただ、そんな選択を出してくれるのが嬉しくてー…。

「3番!……あっ、やべぇ。考えてなかった」

あちゃ~、と苦笑する仙道。そんな仙道に呆れる流川。

「どあほう。クイズ出す位ならキチンと問題考えとけ」
「そうだよな。んで、どっちだと思う?」
「…3択じゃなかったのかよ?」
「だって思いつかないんだもん」

軽く溜め息をつき、流川は仙道の瞳をしっかりと見て言った。

「…2番しか考えられねぇー…」

今度は仙道の胸が熱く火照った。
仙道の答えを待たず、流川は仙道に軽く口付けを。
それから、耳の穴、首筋へと舌を這わせる。
胸の突起に舌が到着した時に、流川が頭を上げ仙道を上目遣いがちに見た。問う。

「当たってんだろ?」
「……あぁ」

流川が微かに笑う。そんな流川の笑顔に、仙道が驚く。

「お前、笑う事あんだな」
「うるせぇよ」

頬を赤くして恥ずかしそうに流川が、するぞ、と言う。
仙道も軽く頬を赤らめ、頷きイエスのサインを出す。

いつまでも続けば良いと、流川も仙道も思う。

甘くて、たまに切なくもなるけど、とにかく甘ったるい、この時間が。

いつまでも在れば良いと、流川も仙道も願う。

流川と仙道だけの甘い甘い、二人だけのこの場所が。

End

7 7月
2021

欲しいんだ

流川は素直だと思う。それはそれは清々しいほどに。

だから、こんなふうに迫ってみたりするんだろうなと思う。背後からギュッと優しく、そして強引に。

7 7月
2021

Blue Heaven※R-18

 流川のことを好きになってから、いつだってアイツのことばかり考えるようになった。男相手に、今何をしてるのか考えるオレは完璧に流川の虜。まぁ、バスケの時は別なんだけど。
 最初は想ってるだけで良いって思ってたよ。オレの一方的な気持ちを押し付けるのは良くない。だから我慢してたんだ。でも我慢って良くないな。我慢すればするだけ、今度は流川のことしか考えられなくなってしまう。我慢も限界にきたある日、オレは告った。お前が好きだと。多分その時は顔、真っ赤だったと思う。今までにオレから告るなんて事なかったから。ドキドキしながら流川の返事を待つ。どんな返事が返ってこようと、オレはそれを全て受け入れるつもりで。例え、それで拒絶されたとしても、それが流川の答えであれば嬉しいものだ。
 告られた流川は一瞬目を見開くと、きっぱりと言った。好きな奴がいるから付き合えねぇって。
 そうか。好きな子が…。ま、流川みたいなパっと見がバスケが恋人ですだなんて奴でも、この年頃になりゃ好きな子の一人や二人いたとしてもおかしくはない。誰が好きなのか訊いた。聞きたくねぇけど、聞きたくて仕方なかったんだ。
流川は真っすぐオレを見据えて一言。

「サクラギ」

桜木は赤木さんの妹にベタ惚れだから、叶わないかもしれねぇけど。流川はそう付け加えた。こんなに自発的に喋る流川は珍しい。
 そして、オレは流川の言葉を聞いて閃いた。それはあまりにも愚かな閃き。ついさっきまでは流川がどんな答えを出そうと、それを有り難く受け止めるつもりでいたのに今ではその案を流川に聞いてもらいたくてならない。思わず呆れて笑ってしまう。不審に思った流川の目には、こいつ壊れたんじゃないかっていう心配と呆れの色があった。ある意味、お察しの通りオレは壊れてるのかもしれない。

「桜木との関係が上手くいくまでで良いからさ、付き合おうよ…」
「…どういうことだ?」
「体だけの関係ってヤツ。ね、流川」

 自分でも馬鹿げた提案だと思った。恋愛が出来ないなら、せめて体だけの関係だけでもとせがむ。もしかしたら、体だけの関係を進めていくうちに流川の気持ちがこっちに傾くかもしれないじゃないか。そんな浅はかすぎるこの提案に流川は、のった。流川がなにを思って、オレの案にのったのかは分からない。それでも、なんとか流川との関係をこぎつけられたのは確かだ。
 それからオレと流川の関係は始まった。

「はっ…、るか…っ」

 流川を、もっと奥まで進んでこれるように足を開いて誘いをかける。そのため入りやすくなったのか、流川が一気に奥まで入ってきた。息がつまって頭を仰け反らし、シーツを掴む。

「あぁっ…」

 思わず発してしまった喘ぎ声に流川が反応したらしく、ぴくりと震えた。オレの顔を覗き込むように屈む。

「…大丈夫かよ」
「へへっ、大丈夫だよ。大丈夫だから、動いて」

 流川は体を起こすと、返事は言葉にせず腰を動かすことで返事を返してきた。そう、それで良いんだ。オレを見てくれてるだけで良いんだ。…って、なんかオレ女々しいな。だけど今はそんなことどうだって良い。今はとにかく流川との行為に集中することにした。
 緩やかだった流川の腰の動きは徐々に激しくなる。流川動きが激しくなるのは、かなり気持ち良くなったっていう証拠。
 オレは流川の首に両腕を回して、キスを求める。ゆっくり瞼を閉じ待つ。唇が落ちてきてすぐに舌が差し込まれる。オレも舌を絡ませた。絡み合う唾液が湿った音を洩らし、その音が耳に響く度、流川もオレも益々興奮していくのが分かる。貪るようなキスと激しい動きに、もう互いに限界を感じていて。唇を離す。流川が上になっているから、表情の細かい所までは分からない。だけど濡れた唇がキラリと光って、ドキッとしてしまう。

「流川、いきそ…」
「…オレもだ」

 流川が大きく突いた。昂ぶりを極めるために。また息がつまると同時に視界の焦点が合わなくなってくる。いつだってそうだ。流川を見つめていたいのに、こんな時に限って快楽が邪魔をして流川を見えなくする。嬉しいけど悔しい。そんな事をぼんやりと思っていると、腰に回した腕に震えが伝わって、流川が達することが近いのが分かった。
 イっても良い。そう思って腰に回した腕に力を込める。それさえも刺激になったのか、唇を噛み締めた流川は、なんとか声を出さないようにしたみたいだけど無理だったようだ。

「くっ…、サク…ラ…ギ」

 オレが目を見開いたのには気付かず、流川はそのまま達してしまった。熱い液体が、勢いよくオレの中に放たれる。この感じは嫌いじゃない。
 だけど、流川はやっぱり桜木しか見ていない。当たり前のことなのに、今更ながらに悔しく思う。悔しさに唇を噛み締めていると、いつの間にかオレの中から出ていた流川の手が、オレの中心に伸びていた。それから扱かれて、あっけなくオレは流川の手の中で達した。

 綺麗に筋肉のついた流川の体を見るのは好きだ。何故なら流川を独り占めできるから。誰にも邪魔されることのない、この時間が好きで好きで堪らない。だから今も全裸のままベッドに横たわって、身支度を整える流川を見つめる。ようやくオレの視線に気付いた流川はいつもの言葉を口にする。

「また…、来週来るから」

 ポツリとそう呟くように言う流川を、いつも律儀な奴だと感心して見ている。嬉しい筈なのに、変なところで天の邪鬼なオレは軽口を叩いてみせる。

「ハハッ。来週の今日にゃあ、もしかしたらお前と桜木、デキてるかもしんねぇのに。そんな約束したらいかんよ」
「…………仙道」
「どした?」

 ずっとオレを見つめていた流川は、オレから視線を外すと背中を向けて短く、「いや」と言った。続きを聞きたいと思ったけど、オレに言っているというよりも、自分自身に言っているように聞こえた。だから流川が言いかけたその言葉を聞く必要はないと思った。

「気を付けて帰れよ」
「…分かってる。じゃあな…」
「あぁ。じゃあな」

 流川の背中を見送った後、ドカリとベッドに俯せる。

「さぁ、どうしようか…」

 このまま流川を縛り付けておいても良いものか、どうなのか。オレは滅多に使わない頭を動かし考えた。
 さっき自分が流川に言ったこと。桜木とくっついているかもしれねぇってヤツ。正直、そうなってしまえば良いと思う。そうなってしまえば、オレの中でも踏ん切りがつくし、流川だって幸せになれる。
 だけど、やっぱりデキてほしくない。理由はただ一つ。流川のことが好きだから。
 流川はあぁ見えて真面目な人間だ。口先では悪態をつきながらも、きちんと相手のことを考えることの出来る、ある意味良い奴でも悪い奴でもある。そんな良い奴だから、余計に流川のことを好きと言うオレの方に振り向いて、流川が好きな桜木の所に行けなくなってしまう。でも流川には悪いけれど、まだまだ引く気はない。

「あ、やべ。もういい時間じゃん。そろそろ寝なきゃ」

 時計を見ればもう3時を回っている。今日は確か武里との練習試合があったな。さて体は動くだろうか。そんな心配をする前に寝てしまおうと思って瞼を閉じた。
 いつか、流川がオレのモノになっちゃえば良いのに。そう思いながら。

End

* 晴←花←流←仙になっていますが、本当は仙の後に、←牧or藤を入れようとしてストップ。入れたらあまりにもややこしくなりそうだったので(-“-;)
でも心意気は仙の後に、←牧or藤なんです。

7 7月
2021

小悪魔チック♡

私は総受けが好きです。というのが、それぞれの枠でどんなことが起きるだろうって妄想するのが楽しくって!楽しくって!
例えば火と水を合わせたら、火と木を合わせるのでは全く違う反応がそこに起きる。
だからこそCPによるカラーを想像するのが好きでたまりません。
「浮気」とはまた違い、ただ関係性に寄って見せる攻めと受けの表情を見ていたい、そんな感じです。

今日は流川×仙道を。

昨日は花道×仙道を更新しましたが、あれは仙道が花道に甘えることによって、その可愛さを引き出したい。花道は遠慮をするタイプだと思う。
一方で流川×仙道はとにかく流川がガンガン押していくように思う。

押され気味の仙道もこれには苦笑い。
でも、一方でそんな流川をめちゃめちゃ可愛いと思っているといいな。
「天才」と呼ばれる仙道は恐らく、陵南メンバーの中でも頼れる存在というのはもちろんのこと、少しだけ他の部員達との間に壁があるのではないかと思っている。私はね。

恐らく流川はそうではない。

ただ全力で仙道を追いかけていく。時には追い詰めるっていう言い方もいいかもしれない。
そして全力で仙道を手に入れ、絶対に離さない。
その愛が時に重く感じても笑って受け止めてるようなイメージを持っている。

だから時として、こんな風に抱きつき小悪魔チックに迫ってみる仙道も良いかも?

7 7月
2021

帝王×仙道と呼びたい


私は、牧がイメチェンを図る前の状態の牧×仙道を帝王×仙道と呼びたい!という無駄な主張とともに絵をUP。
シチュエーションは覚えていませんが、とにかくそんな主張をしたかったのです。って以前にも書いたかな?

イチャイチャしたい仙道と、ストップをかける帝王。良いと思います。

7 7月
2021

先輩と後輩というシチュエーションに思いを馳せる

この絵ははるか昔に描いた物で正直シチュエーションが思い出せない。
恐らくパソコンを手に入れペンタブを手に入れて、サイトを開いたのがちょうど10年ほど前のものだからそれくらいのものだったと思う。
サイトのアバウトにあるとおり、はるか昔のものまで順次upしていって更新を終える予定なので、これはこれで大変だけど当時を思い出すのが楽しくて仕方ない。途中絵柄が地味に変わったりするのはご愛嬌。順番もバラバラです。

それはさておき、確かシチュエーションは大学卒業後牧と仙道が同じ会社に入社することになり、そこで一年先輩の牧が仙道に仕事を教えることになるというもの。

すでに学生時代にできていた二人は、もうドキドキが止まらない。

仙道は仕事中ドキドキしっぱなしだが牧は至って冷静。さすが帝王、冷静。
かと思いきや、こんなセリフが飛び出してくるではありませんか。

たまに仙道が海南に行っていたらといった妄想もして楽しみますが、社会人になってからの二人の妄想もすごく楽しい。
何よりふたりとも高校生時点でだいぶ大人びていますし、そこを覗いてみたい。

社会人になったキャラクターたちのその後を強く見たいと思ってしまう今日この頃。
仙道の髪型は!そもそも職業は!一体!!!?

7 7月
2021

勘違いしていたことがある

SLAM DUNKの画集「 INOUE TAKEHIKO ILLUSTRATIONS」にて誤解していたページがあった。
それは96、97ページの出来事。

カッコいい牧さんと、どこかアンニュイともとれる表情を浮かべた仙道の横顔のあのページ。
仙道の顔の前に当てられたあの手を、私は完全に牧のものだと思っていた。

つまり、こういう感じだったのだと幸せな頭を持つ私は思っていたのですよ。

それはそれは妄想は膨らみ、その妄想はただひたすら私を楽しませてくれた。

「牧が仙道の顔の前に手をあてる?例えば仙道がキスをせがんで、”おあずけ”されているシーンだとか?」
「例えば仙道が使う整髪料が切れて、困っている仙道を牧が慰めているとか?」
「例えば……」

こんな風に、私は幸せな日々を過ごしていました。
「あれ?これって普通に仙道の手では?」と気付くまでは!(笑)

どうやらSLAM DUNKの全盛期、仙道受けもかなりのサークルさんがあったようで仙道受けでは牧×仙道が多かったよう。
この二人がこうしてこのページに並ぶのは、やっぱりあの試合が影響しているんだろうなぁと思ってみたり。
牧×仙道というのは、陵南メンバーとはまた違う意味での「深い繋がり」というのかな?
そういったものを感じさせてくれる二人だと思う今日この頃です。

7 7月
2021

「全国へ一緒に行くぞ」


海南vs陵南戦後の牧×仙道。すれ違い様に手をコッソリと繋ぐが、それも一瞬。
案外この距離感が良いのかもしれない。

7 7月
2021

鍵※R-18

いつも見ているはずの何も書かれていない表札を改めて見る。何となく気になった、そんな感じだ。
アイツらしいなとクスリと笑い、鞄からスペアキーを取り出し鍵穴に差し込む。
その鍵は仙道との関係が始まった時に、仙道に手渡された物だ。

「オレ、インターフォン鳴っても気づかないことがあるんですよ」

そう仙道は苦笑い交じりに言ったのを今でも鮮明に覚えている。自分の世界に入っているらしい。「お前らしいな」と言うともっと困ったように笑う。
色気も何もないやり取りではあったが、何となく大切な物に思えて、牧はいつだってこの鍵を肌身離さず持っている。
右に回すと金属の鈍い音が鳴り、鍵が開いたことを知らせる。ドアノブを回し、何も言わず靴を脱ぎ中へ足を踏み入れた。
寂しく冷たい雰囲気の漂う部屋。電気が点いていない所為だろうか。普段より冷たく思えたのは。仙道の部屋にはあまり物が置かれていない。
それでも、この部屋がぼんやりと明るいのは、部屋の電気のかわりに点いているテレビのお陰。テレビの青白い光りが、部屋の輪郭をぼんやりと映し出す。
本当にアイツらしい。
電気を点けようと電気ペンダントの紐へと手を伸ばしかけた時、後ろに気配を感じた。
静かな足音に神経を集中させる。

「牧さん、来てたんだね」
「あぁ。ついさっきな」

振り返り、仙道、と部屋の主の名前を呼ぶ。電気を点けるぞと言うと、どうぞと返事が返ってきた。奴の、仙道の微笑んでいるであろうその笑顔を見る為、牧はペンダントの紐を引く。
蛍光灯はその独特なカチカチと乾いた音を立て、最初は鈍くそしてすぐに明るく部屋を照らし出す。
目が合う。案の定、仙道はニコニコと笑っていた。
仙道の顔から視線を外して、身体を頭の先から爪先まで眺める。髪はフニャリと額に落ちている。上半身裸の身体に首からバスタオルを垂らして、いかにも風呂上がり。下半身はハーフパンツだ。
牧の視線に気付いてか、仙道がシャツを着ながら言う。

「風呂に入ってたんスよ」
「見りゃ分かる」

そりゃそうですねと、仙道は肩をすくめる。少し冷たい牧のその物言いは、長い付き合いということもあり慣れている。といっても別に仙道は牧と初めて会った時から気にしてもいないのだが。それでも、たまにふと思うことがある。
そして、もう少し優しい感じに喋ってみてはどうなんだろう、といつも思う。もう少し優しい口調なら女の子だってもっと寄ってくるだろうに。彼は堅物すぎる。
だがそこまで考えると、流石に牧に悪いと思えてきて、仙道は考えるのを止めた。牧に向き直り訊く。

「何か飲みます?って言ってもポカリしか無いんですけど」
「…あぁ」

仙道なりの好意を受け入れた牧は、ローテーブルを前に床に腰を落とす。その間にも仙道が350㎜lの缶を2本手にやって来た。はい、と牧に1本手渡すと、仙道も牧の斜め前に座る。プルトップに指をかけ開けると仙道は一口飲み、牧を見る。

「今日はどうしたんですか?恋の悩みかな?」

とぼけて聞く仙道に一言、「馬鹿」と返す。分かってるだろと目で言う。
仙道はクスクス笑った。前髪を下ろしているせいで、幼く見える仙道の笑顔が可愛く思えた。

「分かってますって」

一息置いて、じゃあやっちゃいますかと続けベッドの端に腰掛ける。
仙道の言葉に今度は牧が肩を下ろす。もう少し色気のある言葉を選べ。そう思ったが、そんなことを言ったところで仙道には通じない気がした。また茶化してくるのが目に見えて分かっている。だったら最初から言わなければ良い。いちいち口を出して、疲れるのは自分なんだ。
この関係を持ちだしたのは牧だった。初めての時はそれはそれは気の毒なくらい仙道を振り回した。しかし今では立場が逆転しているように思えてならない。この鍵を渡されたその時から。
一向に動かない牧を、少し心配そうに仙道が見上げる。

「どっか調子悪いんですか?」
「いや」
「ねぇ、牧さん」
「なんだ?」
「今日はお手柔らかに、ね?」

先程の幼く見えた笑顔とは異なり、妖艶な笑みを浮かべる仙道に思わず鼓動が強くなるのを、牧は感じずにはいられなかった。
いつだってそうだ。なにか軽口を叩いては牧を苛々させるのに、次の瞬間には、こうやって愛しく見えたりする。
そんな仙道を心のどこかで恐れている部分があるが、その思いを口には出さずにベッドへ。

元々牧も仙道も駆け引きが好きな性格だった。どこか自分と同じ匂いがする男には絶対に負けたくないのだ。この関係に勝敗など存在はしない。するとすればコートの上でだけだ。
それなのに、二人は仙道が牧に鍵を渡したその日からこの関係をまるでギャンブルのように楽しんでいる。
仙道はいつだって牧のその強面の下にある別の一面を見たいと思っている。牧はいつだってその笑顔の下にある一面を見ていたいと思っている。それを引き出す方法は?そう考えると楽しくて楽しくて仕方ない。彼らはこの関係を心から好んでいる。
途中、牧は電気ペンダントの紐を2回引っ張る。今度はオレンジ色の豆球が、部屋を照らし出す。

「電気つけっぱなしでも良いのに…」

不服を訴える仙道を無視して覆い被さる。牧は首筋に頭を埋め無視して唇を重ねる。仙道は嬉しそうに牧の肩へと腕を廻す。
豆電球でオレンジ色に染まった部屋の中。2人は激しく貪欲に求め合う。
緩やかに上気していく仙道の呼吸は、いつだって余裕に満ちている。
悔しいな。そう思うと歯痒い。ローテーブルに置かれた鈍く光る鍵を一瞥してから、牧はいっそう激しく仙道の体を責め続けた。

7 7月
2021

「「「俺の!!!」」」


桜木花道、流川楓、清田信長による仙道奪い合い合戦が始まった!
勝者は誰だ?