Tagged with "福田吉兆 - Gris"
26 5月
2023

どうする吉兆

二人とも、これがファーストキスだといいですね。
福田も仙道もお互い好き同士ではあったけど、中々思いを伝えられず。
この関係が崩れることを仙道も怖くて言えなかったというのも萌えます。
そして、ぷるぷる福田が勇気を出して告白。
仙道は思ってもみなかった告白に内心でガッツポーズ。好きな人からの告白って嬉しいですよね🥰
のほほんとしているけど、恋愛に関しては少し奥手な仙道も萌えますーーー!!!
これからも色んな福仙を描いていきたいです🤗

7 7月
2021

Cat※R-18

 怒られたことがある訳ではない。なのに、仙道に触れることが出来ない。
 別に仙道に好き勝手触れたからって、仙道が文句を言うことはないだろう。むしろ、あの曖昧な笑みを浮かべて、何か一言二言言葉を紡ぐだけだろう。それどころか、甘えるように笑って、キスをせがんで。その後は……。
 だけど、触れたら逃げるような気がして、やっぱり触れることが出来ない。そんな仙道はまるで猫のよう。おっとりしているように見えて、気まぐれな猫はどこまでも気まぐれ。時に人恋しくなったのか、近づいてくる。また、時にプイッとよそを向いて暫くこっちを向かないことさえある。それが本物の猫なら良い。
 しかし、相手は仙道。人間相手だと話は別だ。

 飼い猫を膝にのせ、時に猫に話しかける仙道。仙道の飼い猫なんだから懐いて当たり前なんだけど膝の上の猫に、軽い嫉妬心を抱きながらも訊く。
「その…、触ってもいいか?」
 一瞬だけ驚いた顔をした仙道は、すぐに笑う。お決まりの質問に、お決まりの返答。
「いつも訊くね、それ。オレ、そんな触りづらい?」
 図星をつかれたオレは、思わず黙り込んでしまう。いつもそうだ。図星をつかれてしまうと、思考回路が停止してしまうんだ。
 どうして触れないんだろうと少し考えてみる。
 越野や植草、一年年下の相田なんかは、遠慮なしに仙道に触れる。例えば試合で仙道が、シュートを決めた時。最高のところで仙道はシュートを決め、陵南に貢献するのはとても喜ばしいこと。だから、オレだって触れれば良いのに、触れることが出来ないのはあの雰囲気のせい。
 人懐こい笑みが嫌いな訳ではないけど、苦手だ。それは初めて会った時から変わらないし、今も同じだ。
 昔から自分は、猫が苦手だった。気ままで、人懐こい仙道と、自分で言うのもなんだけど生真面目で無愛想なオレとは正反対だから、余計に苦手な意識が強くなったんだと思っている。そんな相手とまさかこんな関係になるとは、なんとも皮肉なことだ。
 ふと、クスッと笑う声が聞こえてきて、仙道が顔を覗き込んでくる。猫は気まぐれに仙道の膝から降りて、さっさと自分の思う場所へと向かっていった。
「ダメって言ったらどうする?」
 こんなことを言い出すのも、まるで猫。ニコニコと意地悪い笑みを浮かべて、相手の機嫌を伺う。振り回されるのも楽しい。だけど、たまには違った態度で出てみたら、一体どんなリアクションをするだろうか。
「じゃあイイ」
 プイッとよそを向くその時に、仙道が面白いくらいにポカンと拍子抜けた顔をしていたのが目についた。
 さぁ、どうする?好奇心と、少しばかりの申し訳なさを胸に、意地悪小僧みたいな気持ちになって、横目で後ろを伺ってみる。
 するとどうだろう。上着の裾辺りが重くなり、すぐに温かい感触が首筋に触れる。裾を掴み、額を首筋にあててるんだって分かった。
「ごめん、冗談だよ」
 仙道の声が、いつも以上に甘えた声で心臓が高鳴る。温かい感触が耳に触れて、身体が硬直してしまう。嫌なやつだ。なんとか身体を動かして振り返る。
「お前のこと、よく分かんねぇ」
 言いつつ、仙道を抱きしめる。しどろもどろに仙道が、背中に腕を回してきた。今まで何事にも動じなかった仙道が、小さく見えて、そして可愛く見えた。そうなると、もう言うべき言葉は一つしか残されていない。
「だけど…好きだ」
「だけどって」
 ようやく、吹きだすように笑った仙道の白い頬にキスをする。目が合うと仙道がはにかむように笑うその姿が、純粋に可愛いと思った。もしかしたら、仙道の事をこんなに可愛いと思ったのは、初めてのことかもしれない。

 行為の途中、仙道が飼っている猫が少し開いた扉をすり抜けて入ってきた。ベッドに上がってくると仙道に懐く。どうやらお腹が空いたらしい。すると行為は中断され、仙道は猫に餌を与えるために、素っ裸のまま部屋をあとにした。
 チクショウ、やっぱり猫は苦手だ。
 でも、こんな気まぐれな仙道を、もし飼い慣らすことが出来たら楽しいのだろうか。そんなことよりも、これからも奴と一緒にいたいという気持ちの方が強い。
 甘える声も、悪戯な笑みもこの手にあるなら良い。そんなことを思いながら、部屋に戻ってきた仙道に行為の再開をせがるため、仙道の耳たぶにかじりついた。
  
End


ラブラブ福仙。

7 7月
2021

戯れあい※R-18

 しんみりとした体育館の倉庫で動くかげが二つ。体育館マットを背に預け横たわる仙道の上に跨り、荒い呼吸を整える。肺に入る空気がひんやりとして冷たい。だけど、身体は火が点いたように熱くて、その違いがまた気持ちいい。
「指…入れっぞ」
「うん…」
 いつの間にか気づいてみればこんなことになっていて、指を唾液で十分に濡らし仙道の後ろへと指を運ぶ。
 肌を重ねるのは一体何ヶ月ぶりだろうか。仙道はすでに進路は決まっていてゆとりがあったものの、福田にはそれがなかった。バスケを愛するが故に福田もバスケ推薦を狙い、より一層バスケに熱を入れた。その間二人の関係は、特に身体の関係は一切なく、気づけばこんな時期になっていた。仙道の白い肌も、それから季節柄吐く息が白くなるのも。何もかもが懐かしく愛しい。だから余計に逸る気持ちが強くて、一気に2本指を入れる。何ヶ月も進入がなかったそこは引きつき、それでも窮屈そうに福田を受け入れた。
 ゆっくりと中で動かすと、すぐに仙道の口から喘ぎが洩れた。
「んん…っ」
 いやいやをするように仙道が首を横に振る。久々の快感は少しの刺激でさえ仙道の身体を揺るがす。男同士とはいえど好きな人がよがる姿を見ると、すぐにでも中に入って更によがらせたくなる。だけどしっかりと慣らさないと、後に仙道が大変な目に遭うこともよく分かっている。
 むしろ仙道が、というよりは福田がといった方が良いのかもしれない。初めて肌をあわせたときは無茶をしたものだ。どうしたら良いのか分からなくて、ただ欲望のままに抱いていた感じ。が、次の朝。仙道は立つことは愚か、起き上がることさえ出来ないほどに疲れきっていて福田は頭を抱えた。当の本人は楽しそうに笑っていたが。それ以降きちんと慣らさなければならない、と学習した福田は丁寧に慣らすことをまず一に心がけた。
 仙道の良い場所はよく知っているから、そこを集中的に攻めていく。なんでこんなことをしてるんだろうか、と思う。久々に触れ合いたかったのは確かだ。登校日の今日。ホームルームを終えた仙道が「体育館へ行こう」などと言い出したのだ。何かを企んでいるような笑顔から、期待はした。そしてその期待は見事に叶ったのだが、まさかここまで展開するとは思ってもみなかった。どうしてだろうか。指の動きを止めることなく、ふと考える。喘ぎを堪え仙道が笑う。
「なんで…俺たち…こんなことっ…してんだろ」
 ただ慰め合うために、ちょっと抱き合ってただけなのにと続ける仙道に、福田は敢えて無視をし、更に強くそこを刺激した。
 声だけではもう自身をコントロールしきれなくなったようだ。自ら腰を揺らしながら、ひたすらに福田の侵入を請う。
 それだ、と福田は思う。
 仙道が全て悪いんだ、と福田は思っている。その表情も、声も動きも。何もかもが自分を狂わせるんだ。誘ってない、と仙道は言うだろう。しかしどう見ても誘っているようにしか見えない。だから仙道が悪いんだ。
 目が合う。
 すると仙道は上半身だけを起こしかけ、片腕だけで上半身を支えると福田の前に手を伸ばす。はちきれんばかりに大きくなったそこを、ひんやりとした感触が触れる。驚いて、顔を見る。表情は暗がりの部屋のせいでほとんど見えない。が、白い歯が見えた。笑っている。
「俺だけじゃ悪いからさ」
 ほら、やっぱりお前が誘ってるんだ。
 要らないと言って再び仙道を押し倒す。これ以上仙道に好きにさせたくなかったからだ。自分のペースを崩されることを極端に嫌う福田らしいそれに、仙道は一瞬だけ笑みを浮かべた。福田も分かっている。仙道に壊されたものは今回だけのことではなく、常に仙道にはペースを崩され焦らされていることを。でもそれを認めることが嫌で、指を引き抜くとまだ慣らしきれていないそこに自身を押し込んだ。
「あああぁ…っ」
 仙道が仰け反る。首筋がピンと張るその様は痛々しそうに見え、もっと慣らしておくべきだったかだろうかと後悔したが、仙道がすぐに背中に縋り付くように両腕を回して更に奥へと進みこませる。久々、ということが悪いのか。少し動いただけで福田はすぐに達してしまった。熱い白濁を全て仙道の中に注ぎ込むと、ゆっくりと中から出る。
「この感触好きだな…」
 仙道はいつも言う。自分の中で精液を放たれた感じが好きでならない、と。自分の中に出されたことがない為、一体どのようなものなのかは分からない。もちろん味わいたいとは思わないが、嬉しいなとは思う。けれどもこれ以上は最初に決めたとおり出来ない。若気の至りかどうしても羽目を外してしまいがちな二人の行為は、自宅以外ではある意味危険行為。名残惜しくはあるが言った。
「もうやんねぇぞ…」
「あはは、はいはい」
 残念そうに笑う仙道が小さく見えた。と同時に福田は深い溜息をつく。そんな笑顔を見せ付けられて、ここで放っておくわけにはいかないじゃないか。まだ達していない仙道は自ら扱きあげようと、自身に手を伸ばそうとしている。その手を取り、口付ける。乱した前髪の隙間から目が見えた。潤んで今にも泣き出しそうなその切れ長の目はやっぱり誘っているとしか思えない。
「俺がいるだろ」
 こんなクサイような台詞を言わせてしまうのも、やっぱり仙道のせいだ。少しばかりの苛立ちと、言葉では現しきれない複雑な思いを胸に、欲望に満ちたそこを口に含んだ。

End
第三者から見たらじゃれ合っているようにしか見えないからタイトルは「戯れ合い」

7 7月
2021

仕方のない奴、だから放っておけない

福田が思う仙道は、「仕方のない奴」だと面白いと思う。
同時に「だから放っておけない」という。

仙道ってどこか放っておけない雰囲気を醸し出していますが、同い年で同じ高校で誰よりも仙道をライバル視している福田だからこそ放っておけないというか!
このシチュエーションは、熱を出した仙道を福田が見舞うというもの。
秋~冬にかけて描いた記憶がある。

「あいつのことだから、俺の顔見てもヘラっと笑うくらいだろうな」

なんて考えながら仙道の住むアパートへ向かう福田。向かう最中から「仕方のない奴」と思っていると同時に、やっぱり心配で、少し早足になる福田っていうのがいいなぁ。

7 7月
2021

ふたりぼっち

 緩やかに過ぎていくこの時間が好きだ。仙道が一つ仮面を取って(恐らく本人にはそんな自覚はないかもしれないけれど)、有りのままの声を聞かせてくれる。
 本当はいつだって仮面を取った有りのままの姿を見たいと思うが、それはもうちょっと時間がかかるかもしれない。焦らされてるとか、そんな感覚じゃなく、素直に楽しみに待ちわびている。自分がもう少し子供だったら寧ろイライラしていたかもしれない。それでも今はこんな風に楽しみにしていられるのは、きっと仙道のお陰。そんなことを思わせてくれる、この二人きりの時間。
 だけど、たまに卑屈になってしまうことがある。
「お前、また今日女子にコクられてただろ?」

 少し濃い目の、端正に整った顔が俺の動きに轟くのを見る度に、昂りは更に増す。俺の身体で、この顔が歪んでこんな声を出させていると思うと、たまらなく愛しい。これは一種の所有欲だ。
 が、その一方で勿体ないような気さえしてならない。今日、仙道に告白してた子はキレイな子だった。世間一般で見たら普通、くらいにランクされるかもしれないけど、仙道の横に並ばせたらきっととても似合うと思う。
 そう思うと、勿体ないようなそれから悔しく思うんだ。別に俺が女子に生まれてくれば、とかそんなことを思ってるんじゃない。ただ、言葉に表せなくてもどかしい、ちょっとマイナスな感情。
「うん」
 ベッドに横になって俺の愛撫を受けていた仙道が起き上がる。汗が目にかかったのか、目をこする。目を瞑っているために、長い睫毛が陰を落としより一層、仙道の魅力を引き立てる。思わずその頬に触れると、仙道は嬉しそうに笑いながら俺の手に手を重ねた。こんな時でも、やっぱり仙道の体温は俺より若干低い。
「勿体ないよな、キレイな子だったのに…」
 ぼそりと言うと、仙道は一瞬だけキョトンとした顔をして俺を見る。だけどすぐに笑うんだ。
「福田がいるのに、受けるわけにはいかないさ」
 どうしてだろうか。どうして仙道は俺が欲しい言葉を、言ってくれるのだろうか。動かない俺の手をゆっくり摩る。大丈夫だから、そんなメッセージを込もった仙道の手はあたたかい。
「福田?」
 名前を呼ばれてハッとなる。目の前には、行為の為に目を潤ませきった仙道が俺を上目遣いがちに見ていて。
「続き、やろうよ。…もっと、欲しいよ」
 掠れた甘い声を出す仙道の声。滅多に自分から欲を出さない仙道が求めてくる姿はやっぱり愛しい。仙道の手に更に自分の手を重ね、「分かった」と返事をすると、仙道は満面の笑みを浮かべる。
 ゆっくりと仙道を横に倒して、覆い被さる。
 唇を重ねるとすぐに仙道の舌が俺の舌に絡みつく。離さない、とでもいうようなその絡みはまるで一人を恐れるかのように感じた。
 普段人懐こい笑顔を浮かべる仙道は、どこか人とは違う空気を放っている。血の通ってる人間なのに、人間じゃないような。怖いものなどないだろう、と思っていた仙道にも恐れるものがあったのだ。それは孤独。
 なんでも一人でこなせる仙道は、本当は弱かったのだ。いつか口にしてくれる日がくれば良いと思う。それでも今はこういったサインだけでもとても嬉しい。そしてそんな姿を俺にだけ見せてくれる。仙道を好きになって良かった。
 俺だけじゃなく、仙道も素直になるこの時間。俺はこの時間が好きだ。

End
福仙の魅力に気づかせてくれた某友人へ送ったSS。
どのCPもそうだとは思うけど、この二人のふたりだけの時間ってすごく特殊な感じがする。