Archive from 7月, 2021
7 7月
2021

小悪魔チック♡

私は総受けが好きです。というのが、それぞれの枠でどんなことが起きるだろうって妄想するのが楽しくって!楽しくって!
例えば火と水を合わせたら、火と木を合わせるのでは全く違う反応がそこに起きる。
だからこそCPによるカラーを想像するのが好きでたまりません。
「浮気」とはまた違い、ただ関係性に寄って見せる攻めと受けの表情を見ていたい、そんな感じです。

今日は流川×仙道を。

昨日は花道×仙道を更新しましたが、あれは仙道が花道に甘えることによって、その可愛さを引き出したい。花道は遠慮をするタイプだと思う。
一方で流川×仙道はとにかく流川がガンガン押していくように思う。

押され気味の仙道もこれには苦笑い。
でも、一方でそんな流川をめちゃめちゃ可愛いと思っているといいな。
「天才」と呼ばれる仙道は恐らく、陵南メンバーの中でも頼れる存在というのはもちろんのこと、少しだけ他の部員達との間に壁があるのではないかと思っている。私はね。

恐らく流川はそうではない。

ただ全力で仙道を追いかけていく。時には追い詰めるっていう言い方もいいかもしれない。
そして全力で仙道を手に入れ、絶対に離さない。
その愛が時に重く感じても笑って受け止めてるようなイメージを持っている。

だから時として、こんな風に抱きつき小悪魔チックに迫ってみる仙道も良いかも?

7 7月
2021

帝王×仙道と呼びたい


私は、牧がイメチェンを図る前の状態の牧×仙道を帝王×仙道と呼びたい!という無駄な主張とともに絵をUP。
シチュエーションは覚えていませんが、とにかくそんな主張をしたかったのです。って以前にも書いたかな?

イチャイチャしたい仙道と、ストップをかける帝王。良いと思います。

7 7月
2021

先輩と後輩というシチュエーションに思いを馳せる

この絵ははるか昔に描いた物で正直シチュエーションが思い出せない。
恐らくパソコンを手に入れペンタブを手に入れて、サイトを開いたのがちょうど10年ほど前のものだからそれくらいのものだったと思う。
サイトのアバウトにあるとおり、はるか昔のものまで順次upしていって更新を終える予定なので、これはこれで大変だけど当時を思い出すのが楽しくて仕方ない。途中絵柄が地味に変わったりするのはご愛嬌。順番もバラバラです。

それはさておき、確かシチュエーションは大学卒業後牧と仙道が同じ会社に入社することになり、そこで一年先輩の牧が仙道に仕事を教えることになるというもの。

すでに学生時代にできていた二人は、もうドキドキが止まらない。

仙道は仕事中ドキドキしっぱなしだが牧は至って冷静。さすが帝王、冷静。
かと思いきや、こんなセリフが飛び出してくるではありませんか。

たまに仙道が海南に行っていたらといった妄想もして楽しみますが、社会人になってからの二人の妄想もすごく楽しい。
何よりふたりとも高校生時点でだいぶ大人びていますし、そこを覗いてみたい。

社会人になったキャラクターたちのその後を強く見たいと思ってしまう今日この頃。
仙道の髪型は!そもそも職業は!一体!!!?

7 7月
2021

勘違いしていたことがある

SLAM DUNKの画集「 INOUE TAKEHIKO ILLUSTRATIONS」にて誤解していたページがあった。
それは96、97ページの出来事。

カッコいい牧さんと、どこかアンニュイともとれる表情を浮かべた仙道の横顔のあのページ。
仙道の顔の前に当てられたあの手を、私は完全に牧のものだと思っていた。

つまり、こういう感じだったのだと幸せな頭を持つ私は思っていたのですよ。

それはそれは妄想は膨らみ、その妄想はただひたすら私を楽しませてくれた。

「牧が仙道の顔の前に手をあてる?例えば仙道がキスをせがんで、”おあずけ”されているシーンだとか?」
「例えば仙道が使う整髪料が切れて、困っている仙道を牧が慰めているとか?」
「例えば……」

こんな風に、私は幸せな日々を過ごしていました。
「あれ?これって普通に仙道の手では?」と気付くまでは!(笑)

どうやらSLAM DUNKの全盛期、仙道受けもかなりのサークルさんがあったようで仙道受けでは牧×仙道が多かったよう。
この二人がこうしてこのページに並ぶのは、やっぱりあの試合が影響しているんだろうなぁと思ってみたり。
牧×仙道というのは、陵南メンバーとはまた違う意味での「深い繋がり」というのかな?
そういったものを感じさせてくれる二人だと思う今日この頃です。

7 7月
2021

「全国へ一緒に行くぞ」


海南vs陵南戦後の牧×仙道。すれ違い様に手をコッソリと繋ぐが、それも一瞬。
案外この距離感が良いのかもしれない。

7 7月
2021

鍵※R-18

いつも見ているはずの何も書かれていない表札を改めて見る。何となく気になった、そんな感じだ。
アイツらしいなとクスリと笑い、鞄からスペアキーを取り出し鍵穴に差し込む。
その鍵は仙道との関係が始まった時に、仙道に手渡された物だ。

「オレ、インターフォン鳴っても気づかないことがあるんですよ」

そう仙道は苦笑い交じりに言ったのを今でも鮮明に覚えている。自分の世界に入っているらしい。「お前らしいな」と言うともっと困ったように笑う。
色気も何もないやり取りではあったが、何となく大切な物に思えて、牧はいつだってこの鍵を肌身離さず持っている。
右に回すと金属の鈍い音が鳴り、鍵が開いたことを知らせる。ドアノブを回し、何も言わず靴を脱ぎ中へ足を踏み入れた。
寂しく冷たい雰囲気の漂う部屋。電気が点いていない所為だろうか。普段より冷たく思えたのは。仙道の部屋にはあまり物が置かれていない。
それでも、この部屋がぼんやりと明るいのは、部屋の電気のかわりに点いているテレビのお陰。テレビの青白い光りが、部屋の輪郭をぼんやりと映し出す。
本当にアイツらしい。
電気を点けようと電気ペンダントの紐へと手を伸ばしかけた時、後ろに気配を感じた。
静かな足音に神経を集中させる。

「牧さん、来てたんだね」
「あぁ。ついさっきな」

振り返り、仙道、と部屋の主の名前を呼ぶ。電気を点けるぞと言うと、どうぞと返事が返ってきた。奴の、仙道の微笑んでいるであろうその笑顔を見る為、牧はペンダントの紐を引く。
蛍光灯はその独特なカチカチと乾いた音を立て、最初は鈍くそしてすぐに明るく部屋を照らし出す。
目が合う。案の定、仙道はニコニコと笑っていた。
仙道の顔から視線を外して、身体を頭の先から爪先まで眺める。髪はフニャリと額に落ちている。上半身裸の身体に首からバスタオルを垂らして、いかにも風呂上がり。下半身はハーフパンツだ。
牧の視線に気付いてか、仙道がシャツを着ながら言う。

「風呂に入ってたんスよ」
「見りゃ分かる」

そりゃそうですねと、仙道は肩をすくめる。少し冷たい牧のその物言いは、長い付き合いということもあり慣れている。といっても別に仙道は牧と初めて会った時から気にしてもいないのだが。それでも、たまにふと思うことがある。
そして、もう少し優しい感じに喋ってみてはどうなんだろう、といつも思う。もう少し優しい口調なら女の子だってもっと寄ってくるだろうに。彼は堅物すぎる。
だがそこまで考えると、流石に牧に悪いと思えてきて、仙道は考えるのを止めた。牧に向き直り訊く。

「何か飲みます?って言ってもポカリしか無いんですけど」
「…あぁ」

仙道なりの好意を受け入れた牧は、ローテーブルを前に床に腰を落とす。その間にも仙道が350㎜lの缶を2本手にやって来た。はい、と牧に1本手渡すと、仙道も牧の斜め前に座る。プルトップに指をかけ開けると仙道は一口飲み、牧を見る。

「今日はどうしたんですか?恋の悩みかな?」

とぼけて聞く仙道に一言、「馬鹿」と返す。分かってるだろと目で言う。
仙道はクスクス笑った。前髪を下ろしているせいで、幼く見える仙道の笑顔が可愛く思えた。

「分かってますって」

一息置いて、じゃあやっちゃいますかと続けベッドの端に腰掛ける。
仙道の言葉に今度は牧が肩を下ろす。もう少し色気のある言葉を選べ。そう思ったが、そんなことを言ったところで仙道には通じない気がした。また茶化してくるのが目に見えて分かっている。だったら最初から言わなければ良い。いちいち口を出して、疲れるのは自分なんだ。
この関係を持ちだしたのは牧だった。初めての時はそれはそれは気の毒なくらい仙道を振り回した。しかし今では立場が逆転しているように思えてならない。この鍵を渡されたその時から。
一向に動かない牧を、少し心配そうに仙道が見上げる。

「どっか調子悪いんですか?」
「いや」
「ねぇ、牧さん」
「なんだ?」
「今日はお手柔らかに、ね?」

先程の幼く見えた笑顔とは異なり、妖艶な笑みを浮かべる仙道に思わず鼓動が強くなるのを、牧は感じずにはいられなかった。
いつだってそうだ。なにか軽口を叩いては牧を苛々させるのに、次の瞬間には、こうやって愛しく見えたりする。
そんな仙道を心のどこかで恐れている部分があるが、その思いを口には出さずにベッドへ。

元々牧も仙道も駆け引きが好きな性格だった。どこか自分と同じ匂いがする男には絶対に負けたくないのだ。この関係に勝敗など存在はしない。するとすればコートの上でだけだ。
それなのに、二人は仙道が牧に鍵を渡したその日からこの関係をまるでギャンブルのように楽しんでいる。
仙道はいつだって牧のその強面の下にある別の一面を見たいと思っている。牧はいつだってその笑顔の下にある一面を見ていたいと思っている。それを引き出す方法は?そう考えると楽しくて楽しくて仕方ない。彼らはこの関係を心から好んでいる。
途中、牧は電気ペンダントの紐を2回引っ張る。今度はオレンジ色の豆球が、部屋を照らし出す。

「電気つけっぱなしでも良いのに…」

不服を訴える仙道を無視して覆い被さる。牧は首筋に頭を埋め無視して唇を重ねる。仙道は嬉しそうに牧の肩へと腕を廻す。
豆電球でオレンジ色に染まった部屋の中。2人は激しく貪欲に求め合う。
緩やかに上気していく仙道の呼吸は、いつだって余裕に満ちている。
悔しいな。そう思うと歯痒い。ローテーブルに置かれた鈍く光る鍵を一瞥してから、牧はいっそう激しく仙道の体を責め続けた。

7 7月
2021

「「「俺の!!!」」」


桜木花道、流川楓、清田信長による仙道奪い合い合戦が始まった!
勝者は誰だ?

7 7月
2021

Calm


穏やかな時間をあなたと共に。

***

私が描くと、やっぱり兄弟のようになってしまう池上×仙道。
3年勢が去る際に、池上が妙にあっさりしていたのは、こうした仙道の一面(しんみりとした雰囲気が苦手で、甘えん坊なところがある)を知っているからとか萌える。
池上だけが知っている仙道の本音とかね、なんか萌えるんですよ。

甘える仙道に池上は、きっとたまには面倒くさがりながら温かく構ってあげていると更に萌える。甘える受けが好きです。

7 7月
2021

アイスプレイ

 薄暗い八畳ほどの広めの部屋。
 床はフローリングで、低めのテーブルとそれに見合った低めのラブソファ、その他には大きめのベッドと、最低限必要な物だけしかない部屋を、テレビの明かりだけがぼんやりと部屋の中を照らしだしている。
 沢北は隣に座り、先程からぼんやりとテレビを観ているこの部屋の主を一瞥する。
 最初にこの部屋に入ったとき、部屋を見回した沢北は思わず言った。

「随分とシンプルな部屋だな。なんかこう、置いたりしないのかよ。置物とか」
「ん?片付け苦手だからさ。それに面倒だから、あまり物を置かない様にしてしてるんだよ」

 そう即答したこの部屋の主こと仙道に、沢北は心から同感した。現に沢北の部屋もあまり物は置いていない。
 理由は仙道と同じく、だ。そんな沢北だから、この部屋に随分と心地よさを感じていた。
 しかし夜になり、一階に下り夕食を済ませ、この部屋に戻った時。仙道は一度照明を点け、テレビを点けると短く「消すね」と言い、照明を消してしまった。
 そして今に至る。
 いくらシンプルな部屋が好きだと言っても、この様はとても寂しい感じがした。
 いつもこんな薄暗い部屋で過ごしてるのかと、眉を寄せ嫌そうな顔をして問う。
 沢北は、あまり暗い場所は好きではない。何となく不安になるから。幼稚だと思われても仕方ない。それが理由なんだから。
 だから中学三年生になった今でも寝る際には、豆電球を点けて眠りについている。これからも、眠る際には電気を点けたまま眠るんだろうと何となく思っている。
 一方の仙道は暗い部屋が好きだ。
 それが何故だか、本人さえも分かっていない。それでも小さい頃から、暗がりな所を好んだ。
 寝る時は必ず部屋を暗くするし、テレビを見る時は必ずと言っていい程に部屋の明かりを消す。
 何度か親に、視力が落ちるから止めなさいと注意を受けたことがあるが、止められずにいて、親ももう注意しても埒がないとあきらめている。
 沢北の問いに中途半端に伸ばした前髪を掻き上げ、うん、と短く答えた。

「お前、見かけによらず根暗な奴だな」

 唇をキュッと上げて、少し皮肉を言ってみせるが、全く意味はなさなかったみたいだ。

「あはは、どうも」

 嫌味だと分かっているんだろうか。それとも分かっていないんだろうか。沢北にはサッパリ分からない。
 ただ、いつもの笑みを浮かべてそう言う仙道に、嫌味が通じない嫌な奴だと思うと、もうそれ以上は何も言わなかった。
 再びテレビに視線を戻す。続けて仙道も再びテレビに視線を戻した。
 テレビは好きだ。もちろんバスケをすることが一番好きだ。その次に食べること、寝ること。
 それから次にテレビが好きだ。一番はバスケだから、無理してまで見たりはしないが。
 久々に見るテレビ。最近は全国大会などで、テレビを見る機会が減っていた。集中して見たいと思ったが、どうやらそれは叶いそうにない。
 さっきから隣にいる仙道を見ては、ドキドキしていて、中々テレビに集中出来ずにいる。残念にも思うが、それ以上に滅多に会えない人と一緒に居られることが嬉しく思える。
 だが、純粋にそう思いたいのだが天の邪鬼な気質がある為か、中々それを認めずに、沢北はテレビを見続けた。

「アイス食う?」
「あ?」

 見ていた番組が終わり、コマーシャルが始まると仙道が言い出した。ほんの少し首を傾げて沢北を見た。
 沢北はふと、先程観たテレビの内容を思い出した。
 そういえば、タレントが旅番組でアイスを美味そうに食ってたな。ていうことはアレか?テレビ観てたら食いたくなったってことか?

 意外と子供らしい所があるんだなと思うと、この妙に大人びた部屋とのギャップが可笑しくて堪らない。プッと吹き出し笑うと、仙道が少し頬を膨らませた。
 が、それが今の沢北には逆効果だったらしく、仙道のその膨れっ面を見るなり、また笑い転げた。

 笑い過ぎた所為か呼吸を整えるのに、多少なりと時間を要してしまったが、何とか呼吸を整え滲んだ涙を拭うと仙道を見る。
 仙道はホッとしたように笑う。
 もう膨れっ面ではない。もう一度「アイス食べる?」と訊いてきたので、今度は素直に首を縦に振ってみせる。

「そう、良かった。じゃあ持ってくるからちょっと待ってて」

 笑顔でそう残し立ち上がると、ゆっくりとした動きで仙道は部屋を出ていった。
 閉じられたドアを見ると、余計に一人になった感じがしてならない。
 早く戻ってきてほしい、と考えながら、沢北はふと先程の仙道のことを思い出していた。
 あれだけ馬鹿にされたように大笑いされたというのに、今では笑顔を向ける仙道。
 オレだったら無理だ。あんなに笑い転げられたら、きっと半日は苛々したまんまだ。  それなのに仙道は一時間どころか、ものの数分で…。
 仙道って大人だよな、色んな意味で。
 
 そんなことを考えていると、何だか自分がとても子供のような気がして沢北はしばらく落ち込んだ。だが、それから仙道が戻ってくるまでの間、仙道について考えてみようと思い立った。

 二人が出会い、こうして付き合い始めてから一週間も経たない。告白をしたのは、沢北からだった。自分でもこのことには、今でも驚いている。
 沢北が仙道に告白をした日。それは二人が初めて出会った全国大会の日のことだった。
 試合が始まる前から仙道の話は聞いていた。東京に仙道という凄いプレイヤーがいる。それも、自らガンガンと点を獲りにいくタイプだと。
 自ら点を獲りにいくタイプとは、まさに自分と似たスタイルを持つ奴だ。
 それらを聞いていた沢北は、胸が踊る感覚を覚えずにはいられなかった。
 試合開始前、両チームウォーミングアップの最中、ちらりと相手のチームの連中を見た沢北は、すぐに噂のプレイヤーが誰なのか分かった。
 背は185センチ程だろうか。周りの選手に比べて大分背は高い。また、目にかかりそうなくらい中途半端に伸ばし、端から見ると欝陶しそうにも見える前髪が印象的なその選手。遠目から見ている為、ハッキリとはその顔立ちは見て取れなかったが、十分に整っていることは分かった。
 それから、彼の表情に沢北の目は奪われる。
 笑っていた。楽しみだ、そういった笑顔を仙道は浮かべていたのだ。
 同じ学年の選手なら、沢北の噂の一つや二つ聞いているはずだ。ましてや、対戦相手のことなら、それは尚更だ。
 少しは怯んでいてもおかしくはない。それなのに、仙道はただただ、これから始まる試合を純粋に楽しみにしている、という感じだった。
 ちくしょう。沢北は、小さく心の中で呟いた。仙道の態度が気に入らなかった。
 本気で潰してやろうと心に決めた。それと同時に、違う感情が芽生えていたのだが、沢北はそのことには気づいておらず、仙道を倒す為、列に並んだ。

 試合終了を告げるこのブザーを聞くと同時に、いつもなら自然と口許が緩む。
 沢北率いるチームが勝利を修めたというのに、沢北の心はいまひとつ晴れていない。
 それもこれも、目の前の仙道の所為。
 整列しながら、上目遣いがちに相手のチームメイトを見た。
 悔しそうなのは確かだが、その顔にはそれぞれ満足感さえ漂っていた。
 負けたくせにどうして?
 ふと、キャプテンである仙道を見る。仙道は乱れた前髪を手で後ろに掻き上げながら、ぼんやりと天井を仰いでいた。
 沢北の視線に気づいたのだろうか。目が合うと仙道は笑った。

 思わずドキッとした。
 たった今、仙道率いるチームは負けたというのに何事もなかったかのように、ふわりと笑った見せた。
 仙道の笑顔が何を示すかなんか分からない。負けたのに、笑う。
 どうして?という言葉だけが頭の中を駆け巡る。仙道の笑顔を見ていると、何故か不安な気持ちになってきて、愕然としてしまう。
 挨拶の間も沢北は仙道から視線を外すことが出来ない。挨拶を終えジッと見据えた。  だけど、ずっとそうしている訳にもいかず右手を差し出した。
 キャプテン同士が軽く握手を交わす。この握手は、勝った者から負けた者への「お疲れさま」のメッセージが籠もっていたり、負けた者から勝った者への「次も頑張れよ」のメッセージが籠もっている。必ずしなければいけないだなんて決まっていないから、しない場合もある。
 負けて歯を食い縛って背中を向けるキャプテンも多くはない。

 だが、こいつなら。

 試合中、随分とプライドの高いだという印象を受けた。それでも仙道なら、この手を握るだろう。笑いながら。そう考えていると、案の定、笑顔で右手を差し出し沢北の手を握った。その手は僅かにヒンヤリした感じがして、少し驚いた。
 それから仙道は、他の誰にも聞こえないくらいの小さな声で確かに言った。握られた手に一瞬力がこもる。

「ありがとう。めっちゃ楽しかったよ」

 子供のように無邪気な笑みを浮かべて、沢北を見据える。無邪気なはずの笑顔は、沢北にヒヤリとした感じをもたらした。
 この時、既に沢北の心が試合開始前から仙道に支配されていたことに、沢北はようやく気がついた。

 控え室に戻った沢北は、心の整理をした。こうして滅多に他人のことについて考えることのなかった為、苦労してしまう。だけど、自分は仙道のことをどう思っているのか、必死に考えた。
 考えに考えた結果、ようやく沢北の中に答えが出た。答えが出たからには居ても立ってもいられなくて、部員たちに用事があるからと伝え控え室を出ると、ある場所に向かった。

 会館の誰も人が来ることがなさそうな、だが風当たりの良い階段の踊り場に仙道は一人でいた。こちらに背を向ける格好で、コンクリートの壁に身を預けて風に当たっている。

「よ、仙道。お疲れ」

 声をかけると仙道はゆっくりとした動きで振り返る。やはり笑っていた。

「よくここが分かったね」
「オメェんトコの奴に訊いた」
「そっか。…で、どうした?」

 肝心な所を訊かれ、沢北は思わず押し黙ってしまった。
 黙り込まれてしまうと、流石の仙道も困ったように沢北の近くまで近寄り、顔を覗き込んだ。沢北は言った。

「オレさ、仙道のこと好きだ」

 仙道が驚いたように眉を上げ、少し慎重になりながら言葉を選び言う。

「…好きって、今日会ったばかりじゃん」
「分かってるよ、そんくらい。でも好きになった」

 正直、それから後のことは覚えていない。あまりにも緊張して、だ。だけど自分が仙道に一目惚れした、と言ったことや、仙道が笑いながら、首を縦に振ったことは覚えていて、今もそれらを思い出すと、心の中が温かくなる。

「沢北、お待たせ」

 やっと戻ってきた仙道に「おせぇよ」と一言不平を漏らす。
 本当は嬉しさでいっぱいだったのだが。

「ごめんごめん、冷凍庫の中がすげぇことになっててさ」

 棒アイスの一本を沢北に寄越すと、仙道もその隣に座る。ふわりと仙道の匂いがして、沢北は口許を緩ませた。
 早速袋を開けてアイスを味わう。バニラ味のアイスの甘味と冷たい感覚が、口内に染み渡る。

 仙道もワンテンポ遅れてアイスを食べ始めた。その為、沢北の方が早くアイスを食べ終えてしまう。
 食べ終えた沢北は、あまり仙道を見ないようにしていた。見られながらだと、急かしてしまって悪いと思ったのだ。
 だが、あまりにも仙道が中々アイスを食べ終える気配がしなかったので、ふと仙道を見やる。
 仙道は、一口一口ゆっくりとのんびりとアイスを食べていた。一口、口に含んではゆっくり噛んで。
 なぜわざわざ噛むのだろうか。横目で見ながら疑問に思ったが、沢北はそれを口にはしなかった。
 ゆっくり噛んで食べているせいだろう。アイスが溶け始めて、仙道の腕に溶けたアイスが一筋、二筋流れ落ちる。

「仙道。アイス溶けてんぞ」
「あ、本当だ」

 沢北に言われて初めてそのことに気づいた仙道は、ようやく自分の腕を見た。それなのに仙道は動かない。
 そんな仙道を見た沢北は、ため息をついて仙道の腕を取ると、その腕をペロリと舐めた。どうしてそんな行動に出たのかわからない。
 仙道の体がピクリと反応した。

「沢北…?」

 眉を思いっきり上げて目を丸くした仙道は、軽く身を引いた。笑っていない。

「仙道がのらりくらりとアイス食ってるからだ。とっとと食っちまえ」
「ねぇ、沢北」
「あ?」
「一緒に食べようか」

 今度は沢北が目を丸くした。仙道は笑いながら沢北を見ている。少し意地悪な感じの笑顔。

「あぁ?あと半分もねぇんだから、さっさと食っちまえよ」
「分かってないなぁ、沢北は」

 言って仙道は手元のアイスを一口、口に含むとそのまま沢北の口に自らの唇を運ぶ。
 流し込まれる液体よりも、仙道の行動に驚いて沢北はまた驚いた。
 しかし、嬉しくなってアイスを、仙道とのキスを味わう。舌を絡ませ、もっともっと仙道の味を味わえるように深く。
 息苦しくなって唇を離す。互いに肩で呼吸しているのに気づく。
 見つめ合い、躊躇いがちに仙道の瞳を見つめる。
 仙道は薄く笑い頷いた。
 沢北は仙道の瞳を見つめたまま、仙道が握るアイスを奪うと一口含む。仙道がゴクリと息を飲んだ。緊張してるんだ、と思った。
 互いに服を脱がし合い、唇を重ねる。初めてのことだから仙道も沢北も、脱がせるのに時間を費やしてしまったが。
 重ねた唇から液体が零れ落ち、それを舌で追う。耳の穴を舐める。

「ん…」

 仙道が擦れた声を漏らした。
 暗がりな部屋の為、はっきりと仙道の顔は分からない。照明を一つ点けようかとも思ったが、止めた。
 またアイスを口に含んで、今度は首筋に落とす。舌で丁寧に溶けたアイスを、仙道の体に塗りたくっていく。
 胸の突起を舐めあげると仙道の体が反り、より強い快感を示して沢北にそのことを知らせた。
 沢北は仙道が感じる所を、しっかり覚えようとその体を味わった。

 沢北は何度も擦れた声で「好きだ」と言った。何度も、何度も。
 自分はまだ幼すぎて、「好き」という言葉でしか想いを伝える術をもたない。
 それでも、どうしても仙道に伝えたくて沢北は何度も「好きだ」と言い続けた。

オマケSS

沢北は何度もオレに好きだって言った。
頬を赤くして何回も。
あ、ごめんね、沢北。オレ視力良いからバッチリ沢北の表情見て取れてた。
まぁ、そんなことどうだって良いんだけど。
でもさ、好きって言葉が聞けなくなると、ちょっと不安感じてたり。
なんなんだろう、オレ、沢北にベタ惚れみたい。
だから、これからもよろしくな。

オマケSSend

7 7月
2021

Break Time

 さて、どうしようか。このムラムラしてきちゃった気持ちを。
 目の前には大学受験へ向けて、真面目に勉強に励む花形さんの姿。真剣なその表情はすごく格好良くて、見ていて何故か嬉しい。以前、花形さんにあなた程のプレイヤーなら、そんな勉強なんか要らないでしょうと言ったことがある。花形さんは県内有数のセンターだから、学校側も推薦してくれるだろうし、大学側からもバンバン声がかかってくるだろうから、勉強なんか要らないだろうと思っての発言だった。  が、花形さんからの返事はそりゃ長いものだった。
 眉間に皺を寄せた花形さんが発した第一言目は「馬鹿」
 何事も油断は禁物だ。だからのんびりしていられない。真剣な表情で、花形さんはそう言った。大学でもバスケを続けていきたい。相変わらず無表情だけど、強くて熱い眼差しで花形さんは勉強の大切さについて語った。こんな時に限ってオレは大きな欠伸を一つ。仕方ないじゃないか。生理現象なんだから。
 案の定と言うべきか、更に眉を潜めた花形さんの長い長い説教が始まった。いつもは花形さんの姿を見るだけで、和むことの出来るオレでも、流石に説教の類は嫌いだ。そして、また欠伸をしてしまったが為に、花形さんの説教が長引いてしまったことは言うまでもない。
 そんなこともあって、その日以来オレは花形さんの勉強中に茶々を入れなくなった。説教なんて真っ平ごめんだ。だけど花形さんの斜め前に座って漫画本を読みつつも、花形さんに下心を抱くオレは結構限界に近くて、その唇に少しだけでも良いから触れてみたいと思う。その一方で邪魔したら悪いなとは思う気持ちも勿論あるけど、「ここのところご無沙汰だったし。良いよね」なんて気持ちの方が大きくなって、オレは行動に出た。

「花形さん?」

 机の上に広げたノートから視線を外した花形さんが、ゆっくりとオレを見る。その静かな視線にさえ、オレの心臓はバクバクいってる。いつもはこんなこと無いのにな。

「どうした仙道」

 オレは花形さんに向けていた視線を、わざと薄暗くなってきた窓の外にやる。花形さんもつられたように窓の外を見た。横目で花形さんを見て、よし、と心の中で万歳。窓の外を見たまま、独り言のように呟く。

「暗くなってきましたねぇ…」
「あぁ、そうだな」

 こんなつっけんどんな返事も、オレのあと二言三言で甘い返事に変わるんだ。いつだってそう。どんな状況でも、まぁ、勉強の事に関しては無理なんだけど、オレの言葉で花形さんは驚くくらいに優しくなるんだ。そんなオレの心の中を花形さんは読み取っていて、その度に「お前には敵わないな」と言ってオレの髪の毛をクシャクシャにしながら笑う。その手が気持ち良いから、その手が早く欲しくて、それから思わず花形さんの返事の内容のことを先に考えて、段々と頬の辺りが緩んでくるのが分かった。やばいな、これじゃ変態じゃん。まぁ、良いけど。

 窓から目の前にいる花形さんに目を向けて、少し上目遣いがちに、出来る限りの甘い声で囁いた。こんな時のオレは、恋する乙女。なんちゃってね。

「…やろうよ」

 さぁ、なんて返ってくるか。
 滅多に緊張することのないオレでも、こんな時は緊張してならないんだ。でもそれを表情に出さないようにして、ジッと花形さんの瞳を、いや、口許を見つめた。ほら、やっぱり早く返事を聞きたいじゃん。
 一向に花形さんの口許が動かない。ただただオレのことを、無表情な顔して見つめているだけ。
 もしかして外しちゃった?おかしいな、いつものやり方なのに。
 視線を花形さんの口許から外して、フローリングに目をやる。駄目かもしれない。そう思って。
 しばらく互いに動かないままの時間が過ぎる。この状態は流石に辛い。冗談ですよとでも言って、早くこの場を終わらせよう。と思った次の瞬間、ぐいっと凄い力で引き寄せられた。
 床から視線を外して視線を真正面にやると、黒いシャツが鼻に当たる。花形さんのシャツだ。それから腕が背中に回されたことに気付き、ようやく、抱き締められたことが分かった。そのまま床に押し倒される。頭を打たないように、ゆっくりと。床に全身がついたと同時に、両腕を花形さんの背中に腕を回す。花形さんが、一瞬震えたのが自分の手を通して分かった。オレと同じように緊張してるんだと分かった途端、嬉しくて、胸の中がくすぐったい。

「勉強は良いの?」

 嬉しいくせに意地悪っぽく笑ったオレは、天の邪鬼。そんな天の邪鬼の返事に花形さんが嫌そうな顔をした。それから、呆れたように溜め息をついた。

「これだからお前は…。休憩も必要だろ。何事にも」
「休憩、ね」

 また意地悪っぽく笑ってみせた。少し呆れた表情ではあるが、花形さんも笑った。
 ゆっくりとした動きで花形さんの顔が落ちてくる。その動きにもどかしさを覚えて、花形さんの首を抱え込み一気にキスをした。力が入り過ぎていた所為か、ガチリと歯がぶつかり合ってしまった。結構痛い。だけど、このまま唇を離すのは惜しくもある。舌を差し出し、花形さんの口内に触れるとすぐに花形さんの舌も絡んできた。こうしてしばらく互いの唇を味わう。
 キスの間も、シャツの裾から花形さんの手が入ってきて、肌を撫で回す。鎖骨から突起へ。突起から横腹へ。そして、再び鎖骨へと手は動く。
 かなり気持ちいい。
 徐々に昂ぶっていく気持ちに耐え切れず、花形さんのベルトに手をかける。
 ふと、花形さんが唇を離し、苦笑した。もっとその唇を味わいたかったのに。

「彰はせっかちだな」
「だって早く欲しいから」

 言いながら花形さんの体からすり抜けてベッドに移る。ベッドに腰掛け花形さんの名前を呼ぶ。すると花形さんは、ゆっくりと立ち上がりベッドにと向かってくる。オレの前に立ちすくむ花形さんに、早くきてほしいから腕を伸ばす。花形さんにその気持ちは伝わったようだ。乱暴に押し倒され、シャツを脱がされる。だからオレも少し焦った気持ちになって、花形さんの服を脱がしにかかる。

「ん」

 花形さんがオレを黙らせようとわき腹を擦ったきた。弱いところなんだ、わき腹は。全身に電気が走ったように体が跳ねて、すぐにそこに意識を集中させる。そうしたらすぐに花形さんの手がオレのベルトに伸び、ズボンを開放して。
 花形さんらしい愛撫にうっとりしながら思う。この休憩がいつまでも続けば良いのにななんて、オレはきっと欲張りなのかもしれない。でもそう思わずにいられないほどに、花形さんのことが好きなんだ。

「花形さん、好きだよ」

 言葉は言葉にする度に言葉の価値は薄れていくという。女々しいって思われるかもしれないけれど、繋がっていたいと思うからオレは構わず伝える。けれども言った途端、挿入する為に指で慣らしていた花形さんが、指の動きを止めた。花形さんは何も言わずに自身をあてがうと、ゆっくりと入ってきた。答えを聞きたかったのに答えが貰えず、不安になる。でも不安以上に快感が強くて、喘ぎシーツを掴んだ。

「…あぁっ」

 オレがどんなに喘ごうと花形さんの口から、好きだという言葉を耳にすることはない。まるで放っておかれてる気がして寂しくなる。そんなことを考えていると段々と疲れてきて、意識がぼんやりとしてくる。性欲は解消できかけている。それでも…。

「彰…」

 久しぶりに聞いたような気がする花形さんの声。そちらに顔を向ける。何?って、そんな視線を向けると、花形さんは確かに言った。

「不器用でゴメン。…好きだ」

 滅多に聞けることのない花形さんの本音に、オレは心からこの人を好きになって良かったと思えた。

End


仙道より背の高い攻めって、魚さん以来…!?